School of Government, Kyoto University Morotomi Lab.

京都大学公共政策大学院 諸富研究室

地域再エネ共同研究プロジェクト

Research Project on Local Renewable Energy Economics

プロジェクト代表からのご挨拶 ~地域再エネ共同研究プロジェクトの発足にあたって

 このたび、私たちは日本風力開発株式会社と京都大学による共同研究を2025年4月1日に発足させました。この研究は、再生可能エネルギー経済学講座第1期(2013~2018年度)、および第2期(2019~2023年度)を引き継ぎつつ、さらにそれを発展させようとするものです(2028年3月31までの3か年計画)。

 他方、新たな共同研究を発足させるにあたって、私たちは研究の焦点を「再生可能エネルギー(以下、「再エネ」)と地域発展」の関係を分析することに当てることに致しました。背景には、再エネが日本各地で直面している諸課題があります。東日本大震災直後には各地で歓迎された再エネですが、現在は「迷惑施設」と受け取られる場合すらあります。

 2012年にスタートした再エネ固定価格買取制度で太陽光を中心に再エネが飛躍的に伸びた結果、再エネ設備の存在感が大きくなり、景観に負の影響を与えたり、森林を伐採するなど生態系を破壊したり、傾斜地に設置された設備が災害を誘発しかねないといった問題も散見されます。

 地域の住民の方々の反発も強まり、自治体によっては立地規制の条例を導入した自治体や、一定の条件に該当する再エネ開発案件に対して課税する仕組みを導入した自治体もあります。日本は法令上、都市計画/土地利用計画に関する自治体の権限が弱く、問題のある開発案件であっても、住民との合意形成を図りながら地域と共生する形に誘導する方途を見出していくことは重要で、その試行錯誤のプロセスが始まっているとみることもできます。

 他方、再エネが地域を発展させる潜在力に対する期待が依然として大きいのも事実です。人口減少が進む中で、地域に産業と雇用を創り出し、地域で資金を循環させつつ地域経済を成長に導く一つの有力な手段として再エネが期待されているのです。全国的にみて、この点で優れた取り組みがいくつもありますし、そうした取り組みに熱心に取り組んでいらっしゃる多くの方々がいらっしゃいます。

 本研究プロジェクトでは、こうした全国の取り組みとも連携しつつ、真に地域発展に資する再エネ事業のあり方について、研究を推進してまいりたいと思っております。具体的には、地域共生型再エネ事業のビジネスモデルとその担い手はどうあるべきか、どのようにして地域合意形成を図るべきか、地域共生型再エネ事業を促進するための政策手法や自治体の役割とは何か、といった点についての理論的・実証的な研究を進めてまいります。

 また、本研究プロジェクトの発足と同時に、次世代の地域再エネ人材を育成する「人材育成事業」を立ち上げました。地域共生型の再エネ事業を発展させるには、それを担っていく人材を輩出していかねばならず、その役割を本研究プロジェクトが担っていきたいと考えております。詳細情報は、ホームページに掲載しています。こちらの事業はオープンに展開していますので、関心をお持ちの学生・大学院生の方は、遠慮なく連絡先までご一報ください。

 本研究プロジェクトは、日本風力株式会社と京都大学諸富研究室の構成メンバーを中心として進めますが、研究を成功裏に導くには、多くの方々のご指導、ご助言が必要です。本研究に多くの方々に関心をもっていただき、ご協力を賜ることができれば幸いです。

 本研究プロジェクト発足に合わせてホームページもリニューアルいたしました。このサイトで私たちの研究成果を発表していくとともに、研究の進捗状況を報告してまいります。この場が、関心をお持ちの多くの方々とのコミュニケーションのきっかけになればと願っております。今後とも何とぞ、よろしくお願い申し上げます。

2025年4月1日
地域再エネ共同研究プロジェクト代表
京都大学公共政策大学院 教授
諸富 徹